見たまんまの世界

自分用のメモです。なんでもありません。

視覚への刺激が強い世界

 

2016年1月7日、私は『ジャニーズWEST CONCERT TOUR 2016 ラッキィィィィィィィ7』に行ってきた。

 

思い返せば数年前、中学時代に嵐を好きになったことがあったが、当時少ないお小遣いですべてをやりくりしていた私はファンクラブに入ることも、もちろんコンサートに行くこともできず「高校生になったらコンサートに行く!」と言っていた。しかし、高校に入るとその嵐ブームが簡単に過ぎ去りライブハウスを巡る生活をするようになっていた。

大学に入り20歳になった年にふとしたキッカケで再びジャニーズの世界に飛び込むことになった。そうして私が好きになったのはジャニーズWESTである。気づけば嵐以上にのめりこみ、すっかり虜になってコンサートに行こうと思う運びとなった。

元々嵐が好きだったのにも関わらず「アンチジャニーズ」のような姿勢をとっていた高校時代の私がジャニーズのコンサートに行くだなんて想像できようか。

 

どんな世界でも度合いは様々であろうともファンとはそう簡単に名乗ることのできるものではない。私はファンを名乗るに当たって、出版物、CD、DVD等、過去のもの最新のもとを問わず買える限りのものを入手した。

 

雑誌などの出版物は彼らの歴史とグループの色が見え、学ぶものがたくさんあった。DVDは動いている彼らを見ることのできる最高のツールだ。そして、コンサートの雰囲気を学ぶことができる。この世界に飛び込んで知ったことであるが、コンサートに臨むにあたり、楽曲の振り付けを覚えそして踊れるようにしておくのがベターである。私は過去に発売されたDVDを買い揃え、それらを貪るように見、振り付けを覚えある程度は踊れるように備えた。又、DVD化されていなくしかしコンサートで披露される可能性のあるものはコンサートの様子を収めたWS(ワイドショーのこと。再びこの世界に飛び込んで知った言葉だ)のエンタメコーナーやNHKのテレビ番組『ザ少年クラブ』を見て覚えた。

そして、コンサートと言えばうちわである。ジャニーズのグッズとして公式に売り出されるメンバーの顔が写る大きなうちわにデコレーションするものもあれば、市販のうちわにメンバーの名前を書いたりする自作のものもある。

私は過去にコンサートに行ったことがなく公式のうちわを所持していないので、自作のうちわを用意することにした。その際、インターネットでうちわを作るに当たって必要となる知識を得た。うちわにはサイズの制限があることや使うのが好ましくない素材があるということだ。それに十分注意し自作のうちわを2枚用意した。見よう見真似で挑んだが不器用な私にしては十分な出来ではあると思う。

 

さて、私の個人的な話はここまでにし、コンサート本編の感想へと移りたいと思う。

まず、自分の想像を越えるものを見た、と感じた。非常に感動した。ロックバンドが音でオーディエンスに訴えるのに対し、ジャニーズのコンサート(以下、コンサート。ロックバンドのライブと区別する)はタイトル通り視覚の刺激されるものだった。

ロックバンドであってもアリーナ規模のライブになればバックスクリーンが用意されその曲にあった映像やプレーヤーが映し出されるが、それは一部のバンドを除き大抵は必要最低限のもので、やはり音に凝ったものとなる。一方コンサートはライブと違い演出が桁違いであった。彼らの容姿も相まって眩しいくらいの光線が飛び交い、バックのスクリーンにはメンバー一人ひとりのどの瞬間も逃すまいと常に誰かしらが映し出される。

 

そして、ジャニーズのコンサートの醍醐味と言えば、彼らとオーディエンスとの物理的な距離であろう。今回のコンサートの会場である横浜アリーナで私は過去にロックバンドのライブを数回見たことがある。会場前方に構えられたステージ、そのステージの真ん中から会場の中腹あたりまで伸びた花道。彼らに用意された場所はせいぜいこの2つである。まさに、視覚ではなく聴覚で楽しむためのものだ。しかしコンサートは会場全体に花道、あるいは通路が張り巡らされる。コンサートの最中はメンバー、バックで踊るジャニーズJr.を含めそのステージ上を幾度となく駆け回る。その度にお気に入りのメンバーが近くに来るのだ。

 

横浜アリーナはセンター席、アリーナ席、最上階のスタンド席で構成されており当たり前だがそれによってステージや通路との近さは異なる。しかしここからがジャニーズの本領が試されるのだ。ジャニーズのコンサートには「アリトロ(アリーナトロッコ)」「スタトロ(スタンドトロッコ)」というものがある。本来はパフォーマンスをする場所とされないアリーナ席やスタンド席の通路にメンバーが乗ったトロッコが来るというものだ。今回私が入った2公演はそれぞれアリーナ席とスタンド席であったが、まさにコンサートタイトルのように幸運にも「スタトロ」に乗ったをメンバーを間近で見ることができた。冗談抜きで、手を伸ばせば届くような距離にお気に入りのメンバーがいたのだ。あの、散々雑誌やDVDで見てきたメンバーが、だ。興奮しない方が難しいだろう。ここぞとばかりにお手製のうちわを掲げメンバーにアピール。だがしかし、視線を交えるのは難しかった。

 

あのジャニーズWESTをすぐ近くで見て感じるのは「本当に存在するんだな」というありきたりな表現であるがこれに尽きると思う。様々なライブやイベントでいわゆる芸能人を見ることは過去に数回あった。「実物の方がかわいい」とか「思ったより普通だった」とか感想は様々であったが、今回は「本当に存在するんだな」と感じたのと同時に見てはならないものを見たような気分になってしまった。その理由はひとつである。彼らが雑誌からそのまま飛び出してきたかのような容姿をしていたからだ。

 

見てはならないものを見てしまった、彼らを見てそんな気分になったのは実は2回目である。2015年7月8日号のan・anに掲載されたジャニーズWESTの記事を見て感じたのが1回目である。時々女性誌に特集が組まれることがあるとはいえジャニーズが載る雑誌といえば明星などのアイドル誌である。そんな枠を越えてan・anに一人あたり半ページを使いバストアップの写真がでかでかと載っていた。肌の質感や唇のシワがアイドル誌と違いリアルで艶かしく感じたのを覚えている。それでも手元に残り続ける紙媒体であるし顔を売り物にしているアイドルであるから多少なりとも加工修正はしているだろう、とその場では思った。しかし、だ。あのとき見たan・anで見た男たちがそのまま飛び出して目の前に存在するのだ。あんな感想が出るのをわかっていただきたい。

「見てはならないものを見てしまった」気分になったせいか、間近にメンバーがいるのにも関わらず誰ひとりからも見向きもされなかった上に、自分自身もメンバーをあまり見ることができなかったように思える。ただ、とてつもなく美しかったことは覚えている。

ジャニーズWEST CONCERT TOUR 2016 ラッキィィィィィィィ7』は2015年末に発売されたアルバム『ラッキィィィィィィィ7』を引き下げてのコンサートツアーであるが、その初回盤に収録されている『こんな曲作りました』にはこんな歌詞がある。

なんやかんや 言うても モテタイ

人間 顔じゃない

俺らの本当の中身(ココ)見てよ

ココ、ココ、どう?

 メンバーの桐山照史と濱田崇裕が作詞し自らの顔について嘆き悲しむ曲である。「ジャニーズ=イケメン」の方程式が完成している現在、ジャニーズWESTだけでなく他のグループには各種のイケメンが揃っている。それを見れば嘆くのも頷ける…気もする。が、そう思っていたのはスタトロを体験するまでで、スタトロに乗った桐山照史と濱田崇裕を見て私は「やっぱりジャニーズだ」という感想を抱いた。やはり、アイドルという人に見られる仕事をしているからなのか自虐するような見た目ではなかった。「ジャニーズ=イケメン」の方程式は崩れないのだ。さすがである。

 

目から入る情報量はかなり大きくそしてクオリティも高かったが、その分音は割れたり、一部のマイクが音を拾わなかったりしていた。会場中に張り巡らされた花道や通路を駆け回りながら歌ったり踊ったりのパフォーマンスは普通に考えて難しいものであり、これはこちらの予想でしかないのだが一部はいわゆる「口パク」に頼っているであろう。しかしそれを踏まえても彼らのステージは最高のものであり、最高に楽しいものであった。

 

前述したようにライブハウスを巡りながら「アンチジャニーズ」の姿勢を取ったこともあったが、二つの世界に生きることで二つの世界を比較することが可能となった。一度はジャニーズを離れてバンドブームを通ったのも理由があったのだと今なら思えるし、再びジャニーズに魅了されているのにも理由があるのだと感じている。